情報提供
2016年07月14日
情報提供（刊行物提出）のメリット・デメリット（２／３）
（Ｑ）特許公報が発行された特許出願の中に、将来的に特許になっては困るものを見つけました。情報提供という制度があるそうですね。
情報提供のメリット・デメリットを教えてください。
（Ａ）情報提供（刊行物提出）は、特許出願された発明が特許されるべきではないときに、その理由や証拠（主に、特許公報）を情報として提出するものです。
前記事では、情報提供によりどのような影響があるか？について、情報提供をする側の「メリット」について述べてみました。
http://blog.livedoor.jp/shinonomepat/archives/63392124.html
本記事は、前記事の続きとして、情報提供をする側の「デメリット」について述べてみます。
●情報提供によりどのような影響があるか（情報提供をする側のデメリット）
前記事でも述べましたが、他者の特許出願について、単に特許になっては困るからと言って、なんでもかんでも情報提供をしてよいというものではありません。
最もよくないのは、中途半端な情報を提供することです。
この場合、情報提供をする側のデメリットとして、審査官による十分な先行特許調査が行われないおそれがあります。
ここからは少し専門的になりますが、ぜひお読みください。
●
仮に、情報提供する先行特許（特許公報）をＡとします。
特許になってほしくない相手方の発明をＢとします。
先行特許Ａが、発明Ｂに類似している場合、審査において、発明Ｂの特許性が否定されます。
審査においては、拒絶の理由となり得る先行特許（この場合、先行特許Ａ）が発見されたときは、その段階で、先行特許の調査を終了して、出願人に拒絶理由を通知することができます。
あくまで、「できる」なので、審査官は、さらに先行特許の調査を続行することもあります。
むしろ調査を続行することが多いですが、調査を終了することもできるのです。
しかし、先行特許Ａの発明Ｂに対する「類似度」がそれほど高くないとしましょう。
この場合、その相手方は、比較的簡単に、拒絶の理由を解消することができるかも知れません。
例えば、発明Ｂを、少しだけ変更して発明Ｂ’にして、特許にすることができるかも知れません。
そして、発明Ｂ’が、依然として、特許になっては困るものだったら・・・
実際は、発明Ｂに対して、「より類似度が高い」先行特許が存在するかも知れません。
本来であれば、発明Ｂはもちろん、発明Ｂ’も特許にならなかったかも知れません。
それが、中途半端な情報提供がされたばかりに、審査官によって、そうした先行特許が発見されず、本来特許されるべきでない発明（上記例では、発明Ｂ’）が特許になってしまう可能性があります。
そして、ひとたび特許になってしまうと、その特許を無効にするのは一苦労です。
情報提供する際には、審査官の審査をきちんとアシストできるような、十分な情報（先行特許）を提供するようにしたいものです。
＜続く＞
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少しでもお役に立つ部分があれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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本記事は、前記事の続きとして、情報提供をする側の「デメリット」について述べてみます。
●情報提供によりどのような影響があるか（情報提供をする側のデメリット）
前記事でも述べましたが、他者の特許出願について、単に特許になっては困るからと言って、なんでもかんでも情報提供をしてよいというものではありません。
最もよくないのは、中途半端な情報を提供することです。
この場合、情報提供をする側のデメリットとして、審査官による十分な先行特許調査が行われないおそれがあります。
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●
仮に、情報提供する先行特許（特許公報）をＡとします。
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先行特許Ａが、発明Ｂに類似している場合、審査において、発明Ｂの特許性が否定されます。
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むしろ調査を続行することが多いですが、調査を終了することもできるのです。
しかし、先行特許Ａの発明Ｂに対する「類似度」がそれほど高くないとしましょう。
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本来であれば、発明Ｂはもちろん、発明Ｂ’も特許にならなかったかも知れません。
それが、中途半端な情報提供がされたばかりに、審査官によって、そうした先行特許が発見されず、本来特許されるべきでない発明（上記例では、発明Ｂ’）が特許になってしまう可能性があります。
そして、ひとたび特許になってしまうと、その特許を無効にするのは一苦労です。
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