調査会社
2015年06月24日
特許の先行調査あれこれ
(Q)以前、あるところに、どのような先行特許が存在するか調査をお願いしたことがあります。費用は安かったのですが、内容は微妙でした。
A4の紙に引っかかった特許を2例くらいあげて、これらがあるのであなたの特許は認められません・・・的な感じで終わってしまいました。
一般に、特許の先行調査とはこのようなものなのでしょうか?
(A)先行調査(先行技術調査、先行特許調査などとも言われます。)と言っても、さまざまなものがあります。サービス提供者もさまざまですし(特許事務所・特許調査会社など)、内容も費用もさまざまです。
今回の質問者の場合のように、単に関連する特許が示されて、特許は無理でしょう、程度のものもあります。質問者が特許に詳しくない場合、その後どうしたらよいかわかりません。
依頼前に、どのような調査を行い、どのような判断が必要かを考えて、見積もりをもらうとよいでしょう。そもそも、どのような調査・判断が必要かわからなければ、いくつかのオプションを提示してもらうとよいでしょう。
●先行調査(先行技術調査・先行特許調査)の重要性
以下、先行調査について、さらに説明します。
特許の出願の際に、事前に先行調査を行うことの重要性は言うまでもありません。ただ、「費用」がネックになることがあります。特許(または実用新案)を取得する目的や、予算によっては、先行調査を行わない場合もあります。
以下では、万全な特許取得を目指すために、先行調査を行うことを前提として、説明します。
ポイントは2つです。
①特許の出願書類を作成する弁理士が、先行調査も行っていること
②ある程度の費用が掛かること
●①特許の出願書類を作成する弁理士が、先行調査も行っていること
どのような先行特許が見つかるかに応じて、依頼者の特許戦略は、大きく変わります。依頼者とのコミュニケーションが重要です。必要に応じて、先行調査の途中で経過報告したり、再調査を行ったりする必要もあるでしょう。
(実は、審査官の審査もそうですが、単にある条件(検索式)に当てはまる先行特許(例:500件)を、順に見ていくという手法だけでは、良い調査は期待できません。調査の過程において、条件(検索式)の見直しやフィードバックが必要な場合がほとんどです。なおこの点については、かなり専門的な話しですので、別の記事で補足します。)
調査結果についても、単に見つかった文献名だけでなく、その評価が重要です。依頼者の発明と、同一か、類似か、参考程度かについての評価や、それに基づく、依頼者の発明の特許性の評価が重要です。
そして、依頼者の発明の特許性が難しいと判断される場合も、ではどうしたらよいかについてアドバイスをもらいましょう。
さらに、実際に出願書類を作成するときにも、先行調査を行った弁理士に作成を依頼しましょう。先行調査を行うことによって、弁理士が、発明の技術的内容を理解することができます。先行調査を行った同じ弁理士が出願書類を作成することで、先行特許を意識したものとなり、出願書類のクオリティも上がります。
ちなみに、特許調査自体は、弁理士の独占業務ではありません。しかし、上記のとおりですので、弁理士が特許調査を行った方がよいと言えます。
●②ある程度の費用が掛かること
特許調査については、ある程度の費用が掛かります。費用はむしろ高い方がよいという考え方もあります。以下説明します。
①で、特許調査は弁理士が行った方がよいと述べました。専門性の高い仕事である以上、費用とクオリティは比例する傾向にあります。特に、特許では、オールオアナッシングになりがちです(他にも、家の建築なども、同じ傾向があると言えます。)。
万全な特許取得を目指すという前提では、ハイクオリティを期待して、費用を掛けた方が絶対によいのです。
さらに、少し考えればわかることですが、先行調査の品質が高いということは、関連する先行特許が見つかる可能性が高いということです。関連する先行特許が見つかると、特許出願は行わないという可能性が高まります。
皮肉なことですが、特許事務所が(極端に安い費用で)先行調査を行う場合、関連する先行特許が見つからない方がよいということにもなりがちです。
先行調査の費用が極端に安い場合(あるいは無料の場合)、先行調査の結果として、「あなたの発明に関連する先行特許は見つかりませんでしたので、特許出願しましょう!」と言われても、説得力に欠けると思いませんか?
つまり、先行調査は、「それ自体できちんとビジネスになるような料金体系」でこそ、お互いの納得感が得られるのです。
弁理士が、
✔依頼者の発明を理解する
✔先行調査を行う(例えば、特許庁に出向くことで高度な調査が行えます。)
✔見つかった先行特許に対して判断を行う
✔複数の先行特許の組み合わせ等も考慮しつつ、依頼者の発明の特許性の判断を行う
✔その後どうするかについて、コンサルティングを行う。
これら一連の作業に見合う料金であれば、先行調査の結果がどうあれ、説得力がある調査結果が得られるでしょう。
●先行調査の料金設定
なお、料金設定として、先行調査の後に、特許出願を行う場合は、一定の割引を行うということはあり得ます。
①とも関連しますが、特許の出願書類を作成する弁理士が、先行調査も行うことによって、先行調査の時点で、発明の技術的内容を理解することができます。特許の出願書類を作成する際の労力の軽減になります。このため、特許の出願書類の作成費用については、一定の割引を行うことも、合理的な場合もあるでしょう。
弊所:東雲特許事務所(しののめ特許事務所)も、このような料金設定を採用しています。先行調査後に特許出願を行う場合は、結果として、先行調査自体の手数料は極めて低額になります。しかし、クオリティは担保できるようになっています。
●
以上、先行調査について、万全な特許取得を目指すことを前提としてお話ししました。先行調査はさまざまなサービスがありますので、みなさまの事情に応じて、サービスを使い分けられるとよろしいと思います。
以上、少しでもご参考になれば幸いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。
東雲特許事務所(しののめ特許事務所)の田村でした。
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今回の質問者の場合のように、単に関連する特許が示されて、特許は無理でしょう、程度のものもあります。質問者が特許に詳しくない場合、その後どうしたらよいかわかりません。
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●先行調査(先行技術調査・先行特許調査)の重要性
以下、先行調査について、さらに説明します。
特許の出願の際に、事前に先行調査を行うことの重要性は言うまでもありません。ただ、「費用」がネックになることがあります。特許(または実用新案)を取得する目的や、予算によっては、先行調査を行わない場合もあります。
以下では、万全な特許取得を目指すために、先行調査を行うことを前提として、説明します。
ポイントは2つです。
①特許の出願書類を作成する弁理士が、先行調査も行っていること
②ある程度の費用が掛かること
●①特許の出願書類を作成する弁理士が、先行調査も行っていること
どのような先行特許が見つかるかに応じて、依頼者の特許戦略は、大きく変わります。依頼者とのコミュニケーションが重要です。必要に応じて、先行調査の途中で経過報告したり、再調査を行ったりする必要もあるでしょう。
(実は、審査官の審査もそうですが、単にある条件(検索式)に当てはまる先行特許(例:500件)を、順に見ていくという手法だけでは、良い調査は期待できません。調査の過程において、条件(検索式)の見直しやフィードバックが必要な場合がほとんどです。なおこの点については、かなり専門的な話しですので、別の記事で補足します。)
調査結果についても、単に見つかった文献名だけでなく、その評価が重要です。依頼者の発明と、同一か、類似か、参考程度かについての評価や、それに基づく、依頼者の発明の特許性の評価が重要です。
そして、依頼者の発明の特許性が難しいと判断される場合も、ではどうしたらよいかについてアドバイスをもらいましょう。
さらに、実際に出願書類を作成するときにも、先行調査を行った弁理士に作成を依頼しましょう。先行調査を行うことによって、弁理士が、発明の技術的内容を理解することができます。先行調査を行った同じ弁理士が出願書類を作成することで、先行特許を意識したものとなり、出願書類のクオリティも上がります。
ちなみに、特許調査自体は、弁理士の独占業務ではありません。しかし、上記のとおりですので、弁理士が特許調査を行った方がよいと言えます。
●②ある程度の費用が掛かること
特許調査については、ある程度の費用が掛かります。費用はむしろ高い方がよいという考え方もあります。以下説明します。
①で、特許調査は弁理士が行った方がよいと述べました。専門性の高い仕事である以上、費用とクオリティは比例する傾向にあります。特に、特許では、オールオアナッシングになりがちです(他にも、家の建築なども、同じ傾向があると言えます。)。
万全な特許取得を目指すという前提では、ハイクオリティを期待して、費用を掛けた方が絶対によいのです。
さらに、少し考えればわかることですが、先行調査の品質が高いということは、関連する先行特許が見つかる可能性が高いということです。関連する先行特許が見つかると、特許出願は行わないという可能性が高まります。
皮肉なことですが、特許事務所が(極端に安い費用で)先行調査を行う場合、関連する先行特許が見つからない方がよいということにもなりがちです。
先行調査の費用が極端に安い場合(あるいは無料の場合)、先行調査の結果として、「あなたの発明に関連する先行特許は見つかりませんでしたので、特許出願しましょう!」と言われても、説得力に欠けると思いませんか?
つまり、先行調査は、「それ自体できちんとビジネスになるような料金体系」でこそ、お互いの納得感が得られるのです。
弁理士が、
✔依頼者の発明を理解する
✔先行調査を行う(例えば、特許庁に出向くことで高度な調査が行えます。)
✔見つかった先行特許に対して判断を行う
✔複数の先行特許の組み合わせ等も考慮しつつ、依頼者の発明の特許性の判断を行う
✔その後どうするかについて、コンサルティングを行う。
これら一連の作業に見合う料金であれば、先行調査の結果がどうあれ、説得力がある調査結果が得られるでしょう。
●先行調査の料金設定
なお、料金設定として、先行調査の後に、特許出願を行う場合は、一定の割引を行うということはあり得ます。
①とも関連しますが、特許の出願書類を作成する弁理士が、先行調査も行うことによって、先行調査の時点で、発明の技術的内容を理解することができます。特許の出願書類を作成する際の労力の軽減になります。このため、特許の出願書類の作成費用については、一定の割引を行うことも、合理的な場合もあるでしょう。
弊所:東雲特許事務所(しののめ特許事務所)も、このような料金設定を採用しています。先行調査後に特許出願を行う場合は、結果として、先行調査自体の手数料は極めて低額になります。しかし、クオリティは担保できるようになっています。
●
以上、先行調査について、万全な特許取得を目指すことを前提としてお話ししました。先行調査はさまざまなサービスがありますので、みなさまの事情に応じて、サービスを使い分けられるとよろしいと思います。
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最後までお読みくださりありがとうございました。
東雲特許事務所(しののめ特許事務所)の田村でした。
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