背景技術

2016年08月25日

【発明が解決しようとする課題】を補正して拒絶理由を解消できるか?

(Q)拒絶理由通知によれば、「【発明が解決しようとする課題】を解決しない発明」を含んでいるから、特許にならない(拒絶される)ということです。

この場合は、【発明が解決しようとする課題】を補正すれば、拒絶理由を解消できるのでしょうか?

(A)一般には、【発明が解決しようとする課題】を補正しても、拒絶理由を解消できません。

本質問の拒絶理由は、いわゆるサポート要件違反(特許法第36条第6項第1号)です。
この拒絶理由の本質は、「特許請求の範囲が広い」か「発明の詳細な説明が狭い」です。

これを直接的に解消しなければ、拒絶理由は解消しません。

たしかに【発明が解決しようとする課題】は、「特許請求の範囲」と「発明の詳細な説明」とを結ぶものではありますが、この部分を形式的に補正しても、拒絶理由は解消しません。

<補説>
少し一般的なお話しをします。

●サポート要件違反(特許法第36条第6項第1号)の拒絶理由

『発明が解決しようとする課題を「解決しない」発明が含まれている。』(★)

サポート要件違反(特許法第36条第6項第1号)の拒絶理由では、このように指摘されることがあります。

この拒絶理由の本質はなんでしょうか?

●サポート要件違反の本質

「発明の詳細な説明」には、本来、発明が解決しようとする課題を「解決する」発明が記載されているはずです。

しかし、特許請求の範囲には、それを超える発明、つまり、発明が解決しようとする課題を「解決しない」発明も含まれているのでしょう。

一般には、「発明が解決しようとする課題を解決しない発明」とは、従来の発明です。

つまり、「(従来の発明をも含んでいる)特許請求の範囲が広すぎる」ことが、この拒絶理由の本質です。

決して、「発明が解決しようとする課題」の記載がおかしいということではありません。

●サポート要件違反の解消

そうすると、拒絶理由通知では(★)のように指摘されますが、「発明が解決しようとする課題」のほうを補正しても、拒絶理由は解消しません。

特許請求の範囲から、「発明が解決しようとする課題を解決しない発明」を除外する、すなわち、従来の発明を除外することによって、この拒絶理由は解消することになります。

いずれにしろ、サポート要件違反は、「特許請求の範囲が広い」か「発明の詳細な説明が狭い」ことが本質です。

これを解消するために、発明が解決しようとする課題を形式的に補正したところで、拒絶理由は解消しないのです。

●課題を複数書くことの懸念

ちなみに、以上の内容は、【発明が解決しようとする課題】に、複数の課題を記載した場合に、さらにややこしいことになります。

複数の課題(課題A、課題B)を記載すると、「いずれか一方の課題のみを解消する発明は、従来からあった」と解釈されることがあります。

(あるいは、「課題Aおよび課題Bを解決すること」と、「課題A(課題B)のみを解決すること」とは、「異なる課題」であると解釈されることもあります。)

このように解釈されるのが、デメリットであると考えるなら、課題を複数書くことは、避けたほうがいいと言えそうです。


いかがでしたでしょうか。

本記事の内容をさらに一般化すると、「特許請求の範囲を補正せずに、明細書だけを補正しても、拒絶理由が解消することはない」ということになります。
この点については、他の事例も研究していますので、また別の記事で述べます。

本記事の内容は、具体例があると、さらに理解が深まります。
本記事のような拒絶理由が通知されたときには、ぜひご参考にしてください。

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最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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