発明を実施するための形態
2016年03月02日
【Q&A】特許の出願書類に「断定的でない」表現が多い理由(1)
(Q)特許の公報を読んでいると、断定的でない表現「・・・してもよい」「例えば・・・」「・・・かも知れない」のような表現が目立ちます。
なにか理由があるのでしょうか?どのように読んだらいいでしょうか?
(A)いくつか理由があると思いますが、すぐに思いつくのは次の3つです。
①単に、限定的な記載にしたくないという程度
②補正の根拠
③サポート要件
<解説>
本記事(と本記事の続き)は、特許の出願書類を読まれる方や、ご自身で特許の出願書類を記載する方の参考になると思います。
特許の出願書類は、法律的文書と呼ばれることがあります。
特許の専門家である弁理士は、出願書類を記載する際に、一字一句にまで十分に配慮して記載します。
断定的でない表現をすることの本質的な理由は、②と③と考えられます。
②は、特許と実用新案の出願書類の違いにも関係します。
③は、請求項の形式(独立形式or引用形式)にも関係します。
②と③は、極めて重要な考え方ですが、特許法の知識も必要ですので、詳細は別の記事で述べます。
●
本記事では、①について述べてみます。
特許の出願書類に「断定的でない表現」が使われる理由は、あくまで私見ですが、実はそれほど深い意味はないと思います。
特許の出願書類を記載する者の「習性」ではないかと思います。
特許の出願書類のうち、【発明を実施するための形態】の欄は、もともと発明の実施についての「一例」を記載するものです。
したがって、どこかで一言、「本発明はこの例に限定されない」と記載しておけば、あとはいくら断定的に記載したところで、発明がその記載内容に限定されてしまうものではありません。
<例>
(例1)本発明は本実施形態で説明する例に限定されない。・・・本実施形態ではAはaである。
(例2)本発明は本実施形態で説明する例に限定されない。・・・本実施形態ではAは例えばaである。
(例1)も(例2)も、情報としては、「aはAの一例である」ということです。
むしろ、(例2)は、「くどい」ような気もしますね。
しかし、(例1)のように記載すると、Aはaに限定されるような印象を受けます。
そこで、(例2)のように記載することがあるのです。
(例1)と(例2)のどちらがいいとか悪いとかはありません(②、③の理由がある場合を除く)。
特許の出願書類を記載する際の心境としては(②や③のこともありますし、②や③と無関係の部分についても)断定的な表現を避けることが多くなるものです。
特許公報を読むときも、同様に解釈することができます。
●
いかがでしたでしょうか?
本記事は専門的な内容で、理解が難しかったかも知れませんが、なにかの参考になれば幸いです。
そう言えば、わたしが特許庁の審査官時代、同僚の審査官がこんな出願書類を見つけました。
出願書類のほぼすべての文の文末が、「・・・してもよい」「・・・であってもよい」のような表現で終わっているのです!
具体的な表現は思い出せませんが、例えば、「人間の血液は赤いかも知れない」みたいなことまで、断定的でない表現で記載されていたら、どうでしょうか?
英語の明細書の翻訳文でした。直訳だったのでしょう。
原文である英語の明細書は、ほぼすべての文に「maybe」などが記載されていました。
これについて、私たち(審査官)がどういう心証だったのかは、ここでは述べません。
ちなみに弊所は、国内に事業拠点を持たない外国企業の案件を、原則として受けておりません。
その理由の一つは、この辺にある・・・のかも知れません(maybe!(笑))
<続く>
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お気軽にこちらからどうぞ!
http://www.patande.com/お問合わせ/
(↑お問い合わせフォームが開きます。)
******************************
少しでもお役に立つ部分があれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
東雲特許事務所(しののめとっきょじむしょ)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営
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特許の出願書類は、法律的文書と呼ばれることがあります。
特許の専門家である弁理士は、出願書類を記載する際に、一字一句にまで十分に配慮して記載します。
断定的でない表現をすることの本質的な理由は、②と③と考えられます。
②は、特許と実用新案の出願書類の違いにも関係します。
③は、請求項の形式(独立形式or引用形式)にも関係します。
②と③は、極めて重要な考え方ですが、特許法の知識も必要ですので、詳細は別の記事で述べます。
●
本記事では、①について述べてみます。
特許の出願書類に「断定的でない表現」が使われる理由は、あくまで私見ですが、実はそれほど深い意味はないと思います。
特許の出願書類を記載する者の「習性」ではないかと思います。
特許の出願書類のうち、【発明を実施するための形態】の欄は、もともと発明の実施についての「一例」を記載するものです。
したがって、どこかで一言、「本発明はこの例に限定されない」と記載しておけば、あとはいくら断定的に記載したところで、発明がその記載内容に限定されてしまうものではありません。
<例>
(例1)本発明は本実施形態で説明する例に限定されない。・・・本実施形態ではAはaである。
(例2)本発明は本実施形態で説明する例に限定されない。・・・本実施形態ではAは例えばaである。
(例1)も(例2)も、情報としては、「aはAの一例である」ということです。
むしろ、(例2)は、「くどい」ような気もしますね。
しかし、(例1)のように記載すると、Aはaに限定されるような印象を受けます。
そこで、(例2)のように記載することがあるのです。
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特許公報を読むときも、同様に解釈することができます。
●
いかがでしたでしょうか?
本記事は専門的な内容で、理解が難しかったかも知れませんが、なにかの参考になれば幸いです。
そう言えば、わたしが特許庁の審査官時代、同僚の審査官がこんな出願書類を見つけました。
出願書類のほぼすべての文の文末が、「・・・してもよい」「・・・であってもよい」のような表現で終わっているのです!
具体的な表現は思い出せませんが、例えば、「人間の血液は赤いかも知れない」みたいなことまで、断定的でない表現で記載されていたら、どうでしょうか?
英語の明細書の翻訳文でした。直訳だったのでしょう。
原文である英語の明細書は、ほぼすべての文に「maybe」などが記載されていました。
これについて、私たち(審査官)がどういう心証だったのかは、ここでは述べません。
ちなみに弊所は、国内に事業拠点を持たない外国企業の案件を、原則として受けておりません。
その理由の一つは、この辺にある・・・のかも知れません(maybe!(笑))
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弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
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