発明の詳細な説明
2016年08月30日
請求項の記載と同じ内容が明細書に記載されていれば実施可能要件を満たすか?
(Q)【請求項1】Aを用いてBを実行することを特徴とする○○装置。
わたしの発明は、Bを実行するにあたり「Aを用いて」の部分が発明のすべてです。
ですので、Aを用いてBを実行する○○装置であれば、すべてについて特許を取りたいです。
つまり、Aを用いて「どうやって(How)」Bを実行するかについてまで、発明を限定したくはありませんし、限定する必要もないと考えています。
このような理解でよろしいでしょうか?なにか注意すべきことがありますか?
(A)発明の具体的な内容によって、一概には言えませんが、多くの場合、以下のようにお考えください。
・特許請求の範囲の【請求項1】の記載については、これで大丈夫です。
・明細書の記載については、単に「Aを用いてBを実行する」と、請求項と同じ内容を記載するだけでは、不十分な場合があります。
<解説>
特許請求の範囲については、Aを用いているものすべてについて権利化を目指せます。
「Aを用いて」の部分が発明ですので、「どうやって」Bを実行するかを記載しなくても、それで不明確とはされません。
ただし、明細書については、当業者が「どうやって」Bを実行するかを理解できないと、実施可能要件(特許法第36条第4項第1号)を満たさないと判断されることがあります。
実施可能要件を満たすためには、「どうやって」の内容が、次のいずれかである必要があります。
①「どうやって」の内容が、明細書に記載されている。
②「どうやって」の内容が明細書に記載されていないが、記載されていなくても、当業者には理解できる。
そうすると、②を期待して明細書に記載しないのは、リスクがあるでしょう。
①の「どうやって」の内容を明細書に記載しておくほうが、無難と言えます。
「どうやって」の内容は、少なくとも一例を示せば、特許請求の範囲の全体について実施可能要件を満たすことが多いでしょう(そうでないケースもあります。別の記事で述べます)。
●実施可能要件の拒絶理由の対処
では、実施可能要件違反の拒絶理由通知が来たときは、どうしましょうか?
(対処1)明細書に記載されていて、審査官が①を見落としているなら、①を指摘します。
(対処2)明細書に記載されていなくて、②であるなら、その旨を主張します。
以上が無理なら、このままでは拒絶理由を解消できないので、
(対処3)特許請求の範囲を補正することになります。
ただし、(対処3)は、最後の拒絶理由のときには、難しい場合もあるでしょう。
その場合は、
(対処4)出願を分割する
以外に対策がない場合もあります。
●
いかがでしたでしょうか。
実は本記事の事例は、外国出願に基づいて日本に出願する場合に、特に問題になることがあります。
例えば、請求項の記載が、明細書にほとんどそのままコピーされていて、それ以上の説明が無い場合です。
本来、外国出願に基づいて日本に出願する場合には、日本の審査基準に適合するように、外国出願の内容を修正・補充する必要があるのは、言うまでもありません。
ところが、このような内容の修正・補充ができていない場合には、日本での適切な権利化が困難になることもあります。
このような場合とは、例えば、外国出願の「単なる対訳」程度の内容で日本に出願してしまう場合です(直訳であるか意訳であるかは、本質的な問題ではありません。)
この点については、さらに別の記事で述べたいと思います。
(追記)本記事は、内容が多すぎてわかりにくいので、いくつかの記事に分割します。
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(↑お問い合わせフォームが開きます。)
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少しでもお役に立つ部分があれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
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このような理解でよろしいでしょうか?なにか注意すべきことがありますか?
(A)発明の具体的な内容によって、一概には言えませんが、多くの場合、以下のようにお考えください。
・特許請求の範囲の【請求項1】の記載については、これで大丈夫です。
・明細書の記載については、単に「Aを用いてBを実行する」と、請求項と同じ内容を記載するだけでは、不十分な場合があります。
<解説>
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「Aを用いて」の部分が発明ですので、「どうやって」Bを実行するかを記載しなくても、それで不明確とはされません。
ただし、明細書については、当業者が「どうやって」Bを実行するかを理解できないと、実施可能要件(特許法第36条第4項第1号)を満たさないと判断されることがあります。
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①「どうやって」の内容が、明細書に記載されている。
②「どうやって」の内容が明細書に記載されていないが、記載されていなくても、当業者には理解できる。
そうすると、②を期待して明細書に記載しないのは、リスクがあるでしょう。
①の「どうやって」の内容を明細書に記載しておくほうが、無難と言えます。
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●実施可能要件の拒絶理由の対処
では、実施可能要件違反の拒絶理由通知が来たときは、どうしましょうか?
(対処1)明細書に記載されていて、審査官が①を見落としているなら、①を指摘します。
(対処2)明細書に記載されていなくて、②であるなら、その旨を主張します。
以上が無理なら、このままでは拒絶理由を解消できないので、
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ただし、(対処3)は、最後の拒絶理由のときには、難しい場合もあるでしょう。
その場合は、
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以外に対策がない場合もあります。
●
いかがでしたでしょうか。
実は本記事の事例は、外国出願に基づいて日本に出願する場合に、特に問題になることがあります。
例えば、請求項の記載が、明細書にほとんどそのままコピーされていて、それ以上の説明が無い場合です。
本来、外国出願に基づいて日本に出願する場合には、日本の審査基準に適合するように、外国出願の内容を修正・補充する必要があるのは、言うまでもありません。
ところが、このような内容の修正・補充ができていない場合には、日本での適切な権利化が困難になることもあります。
このような場合とは、例えば、外国出願の「単なる対訳」程度の内容で日本に出願してしまう場合です(直訳であるか意訳であるかは、本質的な問題ではありません。)
この点については、さらに別の記事で述べたいと思います。
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