特許法第29条第2項

2016年10月16日

同じ発明で請求項1と請求項nならどちらが特許になりやすいか(1/2)

タイトルは分かりにくかったかも知れません。
本事例は、以下のようなケースを想定しています。

<ケース1>
【請求項1】a+b+c+d

<ケース2>
【請求項1】a
【請求項2】a+b(引用形式請求項)
【請求項3】a+b+c(引用形式請求項)
【請求項4】a+b+c+d(引用形式請求項)

<ケース1>の請求項1と、<ケース2>の請求項4は、同じ内容です。

どちらが拒絶されやすいでしょうか?


まず、理論上は、あくまで「同じ内容(発明)」なのですから、拒絶される可能性は同じはずです。

しかし、実務上はそうとも限りません。
<ケース1>のほうが拒絶されやすい場合もあれば、<ケース2>のほうが拒絶されやすい場合もあると思います。

そこで、それぞれの場合について、検討してみたいと思います。

(1)<ケース1>の請求項1のほうが拒絶されやすい場合

<ケース1>の請求項1のほうが拒絶されやすいというのは、感覚的にも理解できると思います。

<ケース1>では、審査官としては、請求項1を拒絶しないとすれば、いきなり特許(一発特許)にするしかないのですから、極端に言えば、少しくらい弱い論理であっても、とりあえず的に拒絶理由を通知することはあるでしょう。

しかし、この感覚的な理解を、もう少し掘り下げてみましょう。

それは、<ケース1>の請求項1のほうが拒絶されやすいというよりも、<ケース2>の請求項4のほうが特許されやすいと言ったほうがいいでしょうか。

一言で言えば、<ケース2>のほうが、出願書類(明細書)において、多くの内容を開示しているからです。

<ケース2>では、明細書において、aという広い概念について、サポート要件や実施可能要件を満たした内容を開示しています。

特許は、発明の開示の代償と言われます。

審査官に対する心証として、
出願書類において、aという多くの内容を開示しているのだから、それよりもだいぶ限定されて狭い内容となった請求項4なら、特許してもいいかな、という心証を与えられることはあるでしょう。


いかがでしたでしょうか。

実は、本記事を書いた理由は、上記と逆の場合について書きたかったからです。

つまり、
(2)<ケース2>の請求項4のほうが拒絶されやすい場合
です。

最近、拒絶理由通知を研究しているうちに、こういう拒絶理由の論理は微妙だな、というのにたびたび出会うことがあります。

そして、こういうのをたびたび見かけることを踏まえると、出願人側が、これに対して適切に反論できていないのではないかと思うのです。

この点について、次の記事で述べたいと思います。
(2)<ケース2>の請求項4のほうが拒絶されやすい場合

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