最後
2015年05月27日
【Q&A】「最初の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由のみを通知するもの」とはどう言うことですか?
(Q)2回目の拒絶理由通知が来ました。この拒絶理由通知には、
「最初の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由のみを通知するもの」(*)と記載されています。これはどういう意味でしょうか?
(A)2回目の拒絶理由通知には、(*)の記載がされることがあります。この(*)の記載の意味は、以下のとおりです。
1回目の拒絶理由通知に対する応答で、特許出願人であるあなたは、特許請求の範囲を補正しましたね。審査官は、その補正された内容を審査します。
審査官が、その補正後の内容を審査した結果、1回目の拒絶理由は解消しました。しかし、その補正後の内容について、ただちに特許できず、「別の」拒絶理由が見つかったということです。
そのことを伝えるために、拒絶理由通知に、(*)の記載がされます。
●最後の拒絶理由通知の関連事項4つ
(*)のような拒絶理由通知は、「最後の拒絶理由通知」と言われます(これに対して、1回目の拒絶理由通知は、「最初の拒絶理由通知」と言われます。)。この「最後」に関連する事項を、以下いくつか述べます。
①今回の応答時にできる補正について
最後の拒絶理由通知に対する応答では、補正できる内容に、一定の制限があります。一言で言えば、特許請求の範囲の内容を大幅に変更することは認められません。
なおこれは、最後の(2回目の)拒絶理由通知であることに対する「制裁」のように思われがちですが、そうではありません。この点については別の記事でご説明します。
②今回の応答によって、最終処分として、特許査定されるか、拒絶査定されるかが、ほぼ決まります。
③「最後」であることに対する反論について
2回目の拒絶理由通知が、必ずしも最後の拒絶理由通知になるとは限りません。「最後」と扱うかどうかについては、審査官の裁量の余地があります。「最後」と扱われることは、①(や②)のような不利益があります。
そこで、「最後」であることに対して、直接的な反論を行うことも可能です。この点についても、別の記事でご説明します。
④拒絶理由が2回以上通知されることについての考え方
拒絶理由が何回も通知されると、出願人にとっては、非常に負担が大きいです。特に、個人の方や小規模事業者にとっては、費用の負担や、権利化の遅れは、深刻でしょう。残念ですが、審査官は、この点はほぼまったく考慮しません(少なくとも、出願人側にはそう見えるでしょう)。
しかし、だからと言って、拒絶理由通知は、必ずしも忌み嫌うべきものではありません。出願人にとっては、拒絶理由が存在するまま特許になってしまう方が、結局、デメリットが大きいものです。拒絶理由のない強い特許にするために、的確に拒絶理由を通知してくれる審査官に、感謝しましょう!
最後までお読みくださりありがとうございました。
東雲特許事務所(しののめ特許事務所)の田村でした。
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