数値
2015年06月11日
数値限定の特許について(1)
(Q)あるものを構成する一つの成分について、ある数値範囲に限定すると、特殊な効果が得られることがわかりました。
この数値範囲について、特許を取れるのでしょうか?
(A)一般に、数値範囲を限定した発明について、特許が取れることはあります。
通常の特許と同様に、その発明に、新規性があり、進歩性があることが必要です。
<補説>
数値範囲(数値限定)の発明については、新規性・進歩性の判断は、非常に難しいです。
技術分野によっても異なりますし、判断する主体(審査官・審判官、裁判官(判例))によっても、判断に差があることがあります。
一般論を述べることは困難です。
逆に、さまざまな考え方があってもいいと思いますので、何回かに分けて、私見を述べてみたいと思います。
*
本記事では、(1)特許されるべき数値限定の発明と、(2)特許されるべきでない数値限定の発明について、ざっくりとしたイメージを述べます。
(1)特許されるべき数値限定の発明
(a)数値範囲を変えること自体がアイデアの場合
そもそも常識的な数値範囲があって、数値範囲を変えるという発想自体が、従来無かったとします。
この場合、数値範囲を変えるとすれば、そのこと自体が発明であり、特許されるべきと言えるでしょう。
(b)従来も数値範囲を変えるという発想はあったが、その数値範囲を変える場合
数値範囲を変えること自体は、従来行われていたとしても、それとは異なる範囲を対象にするのであれば、それは発明であり、特許されるべきと言えるでしょう。
(2)特許されるべきでない数値限定の発明
(c)ある数値範囲の中で、さまざまな値のものが製造販売されていたり、どのような数値範囲が最適であるかについて、さまざまな研究が重ねられていたとします。
そのような数値範囲の中で、一部を規定した数値(範囲)というのは、どうでしょうか。
アイデア(「!」と来るもの)という感じではありません。
たとえ、長年の研究の末であったとしても、発明というよりは、発見に近いと言ってもいいでしょう。
このようなものについてまで、特許されることは、わたしは否定的です。
*
発見に近いと書きましたが、審査実務上、「発明ではない」という理由で特許が拒絶されることはないでしょう。
そこで、発明の新規性・進歩性の問題になります。
数値限定の発明は、まず新規性を否定するのが、難しい場合があります。
極端な例を挙げれば、数値の桁数を増やしていけば、同じ数値の先行特許は見つからないでしょう。
また、法律上・事実上は新規性がなくても、実務上、新規性を否定する証拠を見つけることが困難な場合もあります。
しかし、その数値範囲で、すでに研究や製造販売が行われているのであれば、その数値範囲については、進歩性を否定した方がよいのではないかと考えます。
実務上も、数値の下限と上限が証拠として存在すれば、その間の数値範囲は、進歩性を否定した方がよいのではないかと考えます。
この数値範囲で特許を認めると、さまざまな弊害が生じ得るからです。
この点については、別の記事で記載します。
*
長い研究を重ねて、やっとのことで、最適な数値範囲が明らかになったとします。
もちろん、あえて言うまでもありませんが、こうした研究自体を否定するつもりはありません。
しかし、特許とは、研究開発の功績を称えるものではありません。
特許するかどうかの判断基準は、「特許することで、弊害が生じるかどうか」です。
弊害が生じないものについては、特許しますし、弊害が生じるものについては、拒絶します。
それがすべてです。
<続く>
ここまでお読みくださりありがとうございました。
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最後までお読みくださりありがとうございました。
東雲特許事務所(しののめ特許事務所)の田村でした。
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逆に、さまざまな考え方があってもいいと思いますので、何回かに分けて、私見を述べてみたいと思います。
*
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(1)特許されるべき数値限定の発明
(a)数値範囲を変えること自体がアイデアの場合
そもそも常識的な数値範囲があって、数値範囲を変えるという発想自体が、従来無かったとします。
この場合、数値範囲を変えるとすれば、そのこと自体が発明であり、特許されるべきと言えるでしょう。
(b)従来も数値範囲を変えるという発想はあったが、その数値範囲を変える場合
数値範囲を変えること自体は、従来行われていたとしても、それとは異なる範囲を対象にするのであれば、それは発明であり、特許されるべきと言えるでしょう。
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*
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しかし、その数値範囲で、すでに研究や製造販売が行われているのであれば、その数値範囲については、進歩性を否定した方がよいのではないかと考えます。
実務上も、数値の下限と上限が証拠として存在すれば、その間の数値範囲は、進歩性を否定した方がよいのではないかと考えます。
この数値範囲で特許を認めると、さまざまな弊害が生じ得るからです。
この点については、別の記事で記載します。
*
長い研究を重ねて、やっとのことで、最適な数値範囲が明らかになったとします。
もちろん、あえて言うまでもありませんが、こうした研究自体を否定するつもりはありません。
しかし、特許とは、研究開発の功績を称えるものではありません。
特許するかどうかの判断基準は、「特許することで、弊害が生じるかどうか」です。
弊害が生じないものについては、特許しますし、弊害が生じるものについては、拒絶します。
それがすべてです。
<続く>
ここまでお読みくださりありがとうございました。
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