改良
2016年02月16日
【Q&A】「容易に発明」の「容易」ってどの程度ですか?
(Q)「容易に発明」できるものは進歩性がないとして、特許にならないそうですね。
この「容易」ってどの程度ですか?
簡単に思いついた発明は、特許にならないのでしょうか。
(A)特許の「容易」は、「簡単に思いつく」こととは少し異なります。
たとえあなたが簡単に思いついた発明だからと言って、特許にならないとは限りません。
<補説>
特許における「容易」の判断は、特許の世界で最も難しいものの一つです。
その分、さまざまな見解がありますので、ネット等で探してみてください。
さまざまな見解がありますので、本記事でも、私見も交えながら、3点ほど述べてみたいと思います。
●容易に発明できたとされる例
従来品Aについて、あなたの発明がこれを改良をしたA+αだとしましょう。
もし、従来品Aと同じ技術分野の従来品Bについて、「BをB+αに改良すること」が世の中に知られていたとします。
この場合、+αの改良は、格別な改良とは言えませんね。
そうすると、あなたの発明A+αは、容易に発明できたとして、特許にならないでしょう。
あなたの発明:A+α
引用文献1:A
引用文献2:+αについての記述
結論:あなたの発明A+αは、引用文献1,2から容易に発明できた。
●着信通信機器の例
ちょうどこんなアイデア品を見かけました。
スマホに着信があったことを知らせてくれる小型機器です。
小型機器をポケット(胸ポケットやスラックスのポケット)に入れておきます。
スマホをカバンに入れておいても、小型機器の振動で、着信を知らせてくれます。
さて、このアイデア品を見たら、こう思いませんか?
その小型機器、ポケットに入れるのではなく、指にはめられたらいいのではないか、と。
本ブログの読者様でしたら、多くの方は、同じようなこと(あるいはもっと良い改良)を思いついたでしょう。
ある言い方をすれば、「容易に」思いつくと言えるでしょう。
しかし、だからと言って、特許法で言う「容易に発明できた」とは、必ずしも言えません。
ポケットに入れる小型機器から、指にはめる機器を容易に発明できるかどうか?をきちんと議論する必要があります。
具体的には、この点について記述された文献(証拠)があるかないかという話しになります。
●進歩性についての私見
進歩性の一つの考え方は、通常の経済活動において、「普通に行われる」改良の域を出ているかどうかです。
つまり、「何かの拍子に」そうなってしまうようなものに、特許と言う独占権を与えることは、産業の発達を阻害することになりかねません。
逆に言えば、「わざわざ」「敢えて」そうしなければならないなようなものなら、独占権を与える、つまり容易ではないと考えてもいいのではないでしょうか。
例えば、従来品にある効果Xがあるとします。
この従来品にある改良を行うと、効果Xはほとんど失われるけど、効果Yが得られるとします。
この「ある改良」は、効果Yを得るために、「わざわざ」行われる改良です。
しかも、効果Xがほとんど失われるのですから、「敢えて」そうしたと言えるでしょう。
そうすると、普通に従来品を作っている会社は、この改良を、「何かの拍子に」行ってしまうということがありません。
つまり、その改良について特許がされたとしても、普通に従来品を作っている会社は、特に困りません。
それなら、その改良について、特許してもいいではないですか!
別の記事でも書きましたが、数値限定の特許は、わたしは、基本的に否定派です。
「何かの拍子に」その数値範囲を踏んでしまうことがあります。
そのようなものに、特許という独占権を与えることに、違和感を覚えるのです。
●
いろいろ書いてみましたが、いかがでしたでしょうか。
もともとさまざまな意見がある論点です。
反論は建設的ではないのでご容赦ください(笑)
一つでも参考になれば幸いです。
******************************
【PR】お客様(出願人)の考え方と審査官の考え方を融合したベストの対応を実現します!
「おすすめの特許事務所」「おすすめの弁理士」を目指します!
そんな東雲(しののめ)特許事務所へのお問い合わせは、
お気軽にこちらからどうぞ!
http://www.patande.com/お問合わせ/
(↑お問い合わせフォームが開きます。)
******************************
少しでもお役に立つ部分があれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営
【楽しいホームページ】
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http://ideacompany.cart.fc2.com/

この「容易」ってどの程度ですか?
簡単に思いついた発明は、特許にならないのでしょうか。
(A)特許の「容易」は、「簡単に思いつく」こととは少し異なります。
たとえあなたが簡単に思いついた発明だからと言って、特許にならないとは限りません。
<補説>
特許における「容易」の判断は、特許の世界で最も難しいものの一つです。
その分、さまざまな見解がありますので、ネット等で探してみてください。
さまざまな見解がありますので、本記事でも、私見も交えながら、3点ほど述べてみたいと思います。
●容易に発明できたとされる例
従来品Aについて、あなたの発明がこれを改良をしたA+αだとしましょう。
もし、従来品Aと同じ技術分野の従来品Bについて、「BをB+αに改良すること」が世の中に知られていたとします。
この場合、+αの改良は、格別な改良とは言えませんね。
そうすると、あなたの発明A+αは、容易に発明できたとして、特許にならないでしょう。
あなたの発明:A+α
引用文献1:A
引用文献2:+αについての記述
結論:あなたの発明A+αは、引用文献1,2から容易に発明できた。
●着信通信機器の例
ちょうどこんなアイデア品を見かけました。
スマホに着信があったことを知らせてくれる小型機器です。
小型機器をポケット(胸ポケットやスラックスのポケット)に入れておきます。
スマホをカバンに入れておいても、小型機器の振動で、着信を知らせてくれます。
さて、このアイデア品を見たら、こう思いませんか?
その小型機器、ポケットに入れるのではなく、指にはめられたらいいのではないか、と。
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しかし、だからと言って、特許法で言う「容易に発明できた」とは、必ずしも言えません。
ポケットに入れる小型機器から、指にはめる機器を容易に発明できるかどうか?をきちんと議論する必要があります。
具体的には、この点について記述された文献(証拠)があるかないかという話しになります。
●進歩性についての私見
進歩性の一つの考え方は、通常の経済活動において、「普通に行われる」改良の域を出ているかどうかです。
つまり、「何かの拍子に」そうなってしまうようなものに、特許と言う独占権を与えることは、産業の発達を阻害することになりかねません。
逆に言えば、「わざわざ」「敢えて」そうしなければならないなようなものなら、独占権を与える、つまり容易ではないと考えてもいいのではないでしょうか。
例えば、従来品にある効果Xがあるとします。
この従来品にある改良を行うと、効果Xはほとんど失われるけど、効果Yが得られるとします。
この「ある改良」は、効果Yを得るために、「わざわざ」行われる改良です。
しかも、効果Xがほとんど失われるのですから、「敢えて」そうしたと言えるでしょう。
そうすると、普通に従来品を作っている会社は、この改良を、「何かの拍子に」行ってしまうということがありません。
つまり、その改良について特許がされたとしても、普通に従来品を作っている会社は、特に困りません。
それなら、その改良について、特許してもいいではないですか!
別の記事でも書きましたが、数値限定の特許は、わたしは、基本的に否定派です。
「何かの拍子に」その数値範囲を踏んでしまうことがあります。
そのようなものに、特許という独占権を与えることに、違和感を覚えるのです。
●
いろいろ書いてみましたが、いかがでしたでしょうか。
もともとさまざまな意見がある論点です。
反論は建設的ではないのでご容赦ください(笑)
一つでも参考になれば幸いです。
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最後までお読みくださり、ありがとうございました。
東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
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