回避
2014年09月17日
【Q&A】先行特許調査を行えば、自社製品が他社特許を侵害することはありませんよね?
(Q)先行特許調査を行えば、自社製品が他社特許を侵害することはありませんよね?
(A)そうとは言えません。
<解説>
一般に先行特許調査とは、ある発明が「特許になるかどうか」を調べることです。
先行特許調査の結果、関連する先行特許が発見できなかったとします。
その場合は、その発明について特許出願を行うことで、特許される可能性が高いです。
しかし、ある発明が特許されたからと言って、その特許発明を実施した場合に、
他社の特許に抵触しないとは、必ずしも言えません。
(例)他社の特許の構成が「A」とします。
自社製品は、それに改良を加えた「A+B」だとします。
「+B」の部分に特許性があれば、「A+B」は特許され得ます。
しかし、特許発明「A+B」を製造したり販売した場合に、同時に「A」の部分も実施しているということになれば、
その他社の特許権を侵害することになります。
このように、自社の発明が特許されたとしても、他者特許を侵害することがあります。
さらに言えば、単に特許出願したのみでは、他者特許の侵害の回避にならないことは、言うまでもありません。
自社で特許を取ることも大事だけど、むしろ、他社の特許に抵触しないことが最も重要!
このような場合には、以下のような考え方が必要です。
特許出願するかは置いておき、まずは、いわゆる「侵害予防調査」を行うことが重要です。
特に、大量生産・大量販売を行う大企業のような場合は、必ずしも特許出願をせずにノウハウとして技術を社内に蓄積し、代わりに、十分な侵害予防調査を行うこともあります(特許出願するにしても、侵害予防調査は重要です)。
上記の「A+B」の例で侵害予防調査をするならば、
「A」に関連するあらゆる特許を調査したり、「B」に関連するあらゆる特許を調査したり、
「AにBを加えること」について関連するあらゆる特許を調査することが必要です。
ただし、以上のお話しは、一つの製品に複数の特許が絡む可能性があるものの話しです。
一つの製品に、一つのアイデアだけが含まれる(その他の構成要素は、ごく一般的なものなど)場合には、事情は異なります。
このような場合は、そのアイデアだけが争点と言えます。
そのアイデアの先行特許調査(特許になるかならないかの調査)を行えば、同時に、他社特許の侵害を回避できる可能性も高まります。
「先行特許調査」と「侵害予防調査」の違いについて、ご理解頂けましたでしょうか。
ご参考になれば幸いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。
東雲特許事務所(しののめ特許事務所)の田村でした。
<お知らせ>
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