別の意味に解釈
2015年11月25日
【Ｑ＆Ａ】特許の出願書類の誤記を訂正できますか？ ～誤訳訂正を無料でする方法
（Ｑ）特許の出願書類に誤記があったのですが、訂正できますか？
（Ａ）出願書類を全体として見たときに、新たな内容が追加されないようにすれば、訂正は可能です。
＜解説＞
特許になる前に、特許の出願書類の内容を直すことを、補正と言います。本記事では、補正できる時期や、手続については、説明を割愛し、補正できる内容について述べます。
補正の内容的な条件は、「出願書類に新たな内容を追加しないこと」です。この条件を満たせば、誤記の訂正も含め、出願書類を補正できます。
●以下、さらに補足です（私見の部分もあります）。
①その発明の業界の人がその誤記を見たときに、ある一つの意味にしか解釈できない場合は、その意味する内容に補正できます。一方、別の意味に解釈できたり、複数の意味に解釈できるような場合は、もはや誤記とは言えず、補正できない場合もあります。
このことはつまり、誤記の訂正は、してもしなくても、ある意味、問題ないということです。誤記があっても、誤記であると認識されて、本来の意味に解釈されるわけですから。
ただ、特許の権利書として、誤記が無い方がよい、ということでしたら、誤記を訂正すればよいと思います。
②ある誤記が、別の意味に解釈できたり、複数の意味に解釈できるような場合でも、補正できる場合があります。出願書類の他の部分の記載に基づいて、補正できる場合です。
例えば、出願書類の中に、『東雲特許事務所（とううんとっきょじむしょ）』と書いてあったとします。「とううん」は「しののめ」の誤記ですが、特許業界のみんなが知っているわけではありません（笑）。
しかし、出願書類の他の箇所に、『「東雲」は、「とううん」ではなく、「しののめ」と読むものである』のような内容が記載されていれば、誤記を訂正できる可能性があります。
③同じ誤記でも、特許請求の範囲の記載など、重要な部分については、審査官が誤記を発見してくれて、訂正するように示唆してくれる場合もあります。
ありがたいことですね。指摘してくれた審査官に感謝しましょう！
以下はやや専門的ですので、難しければ飛ばしてください。
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＜コラム＞
誤訳訂正書を出さずに、誤訳の訂正ができるか？
誤記の訂正と似たものに、外国語書面出願・外国語特許出願の場合の「誤訳」の訂正があります。誤訳の訂正のためには、有料の「誤訳訂正書」を出さなければなりません。
ところが、上記の②の考え方を使えば、誤訳訂正書を出さなくても、事実上、誤訳の訂正ができる可能性があります。
たしかに、特許法の条文上は、「誤訳の訂正を目的として、・・・補正をするときは、・・・誤訳訂正書を提出しなければならない」と規定されています（第１７条の２第２項）。
しかし、誤訳訂正書の本質は、新規事項追加補正の例外です。新規事項を追加しないで補正できるなら、誤訳訂正書を出さなくてもいいわけです。別の言い方をすれば、新規事項を追加しないで補正できるなら、そもそもそのような補正は、「誤訳の訂正を目的とした補正」と考える必要はないということです。
なお、このコラムの議論では、第１７条の２第２項が拒絶理由でないことを検討する必要はありません。
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コラムのような専門的な内容は、不評であれば（笑）、今後は別の場所で発信したいと思います。もちろん、お客様が弊所にお越しの際には、必要十分な事項を、端的にわかりやすくお伝えいたします。
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お気軽にこちらからどうぞ！
http://www.patande.com/お問合わせ/
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東雲特許事務所（しののめ特許事務所）
弁理士 田村誠治（元特許庁審査官）
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営
【楽しいホームページ】
個人発明家・小規模事業者専門の東雲（しののめ）特許事務所
http://www.patande.com/
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①その発明の業界の人がその誤記を見たときに、ある一つの意味にしか解釈できない場合は、その意味する内容に補正できます。一方、別の意味に解釈できたり、複数の意味に解釈できるような場合は、もはや誤記とは言えず、補正できない場合もあります。
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ただ、特許の権利書として、誤記が無い方がよい、ということでしたら、誤記を訂正すればよいと思います。
②ある誤記が、別の意味に解釈できたり、複数の意味に解釈できるような場合でも、補正できる場合があります。出願書類の他の部分の記載に基づいて、補正できる場合です。
例えば、出願書類の中に、『東雲特許事務所（とううんとっきょじむしょ）』と書いてあったとします。「とううん」は「しののめ」の誤記ですが、特許業界のみんなが知っているわけではありません（笑）。
しかし、出願書類の他の箇所に、『「東雲」は、「とううん」ではなく、「しののめ」と読むものである』のような内容が記載されていれば、誤記を訂正できる可能性があります。
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たしかに、特許法の条文上は、「誤訳の訂正を目的として、・・・補正をするときは、・・・誤訳訂正書を提出しなければならない」と規定されています（第１７条の２第２項）。
しかし、誤訳訂正書の本質は、新規事項追加補正の例外です。新規事項を追加しないで補正できるなら、誤訳訂正書を出さなくてもいいわけです。別の言い方をすれば、新規事項を追加しないで補正できるなら、そもそもそのような補正は、「誤訳の訂正を目的とした補正」と考える必要はないということです。
なお、このコラムの議論では、第１７条の２第２項が拒絶理由でないことを検討する必要はありません。
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