両方
2014年07月09日
同じアイデアについて、特許と実用新案の両方出願できるか?
(Q)あるアイデアを思いつきました。そのアイデアについて特許と実用新案の両方に出願してもいいのでしょうか?費用については特にこだわりません。
(A)特許と実用新案の両方に出願しても構いませんが、以下の点にお気をつけください。
特許と実用新案の全体を通して、最初の出願だけが、権利として有効です。つまり、あるアイデアについて、先に特許か実用新案が出されていれば、後に出されたものは、特許でも実用新案でも、権利として無効です。
ですので、特許と実用新案を両方出したとしても、いずれか後に出した方は、権利として無効です。この点では、特許と実用新案の両方に出願するのは、あまりお勧めできません。
なお、特許で出願した後に、実用新案に変更したり、その逆も一定要件のもとで認められます。この点については、弁理士にご相談ください。
ところで、何らかの理由により、どうしても特許と実用新案の両方に出願したいというケースもあるでしょう。この点については、参考程度のお話しですが、以下説明します。
説明順が逆になりましたが、特許と実用新案は、以下のような特徴があります。
実用新案は、他の特許や実用新案が存在するかどうかについては、審査がされません。審査がされずに、登録がされて、実用新案権が与えられます。仮に審査されていたら登録を拒絶されていたであろう、という場合には、その実用新案権は、事後的に無効にされることがあります。
一方、特許は、他の特許や実用新案の存在の有無や、その他所定の要件について、審査が行われます。審査をパスしないと、特許権は与えられません。
そうすると、少なくとも特許の審査をパスするためには、実用新案よりも特許を先に出す必要があります。特許→実用新案の順ですね。これが逆だと、実用新案の存在を理由に、特許は審査をパスできません。なお、後に出した実用新案は、権利としては無効ですが、ひとまず登録はされます。
そこで、同一のアイデアについて、特許を出願した後に、実用新案を出願するということは、実務上あり得ます。ただしこの方法は、必ずしもお勧めできるものではありません。もし、特許か実用新案かを迷われた場合は、弁理士にご相談ください。
ご参考になれば幸いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。
東雲特許事務所(しののめ特許事務所)の田村でした。
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