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2025年02月02日

特許の出願書類に先行技術文献を記載する意義について【リライト版】

(Q)特許や実用新案を出願する際に、先行技術文献を記載しますね。
それって、自分の知っている従来の技術を開示するのですよね?
出願人には何のメリットもないように思えます。
どう考えればいいのでしょうか?

(A)先行技術文献の記載は、出願人ご自身のために重要なことです。

<解説>
この質問には、次の2つの意図があることがわかりました。
①先行技術文献を調査するのは、手間である
②先行技術文献を開示すると、特許になるのに不利である

以下のように考えてはいかがでしょうか。

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■①先行技術文献を調査するのは、手間である

①については、先行技術の調査は、いずれにしても必要です。
むしろ、良い特許取得のために重要であるとお考えください。

すばらしいアイデアであっても、直ちに特許になるとは限りません。
そのアイデアについて、どのような先行特許が存在するのか?
これを特許調査によって知ることは、非常に重要です。

調査の結果、あなたの発明に類似する先行特許が存在したとします。
その先行特許を克服して特許になるような、もう一工夫が必要です。
もう一工夫してから、特許出願をするのも一つの手です。

また、調査の結果、まったく同じ先行特許が存在したとします。
その場合は、ただちに特許出願をする必要はありません。
少し寝かせてみるのもいいでしょう。
調査をしなければ、特許出願費用が無駄になっていたかも知れません。

それ以外にも、先行技術調査によって、さまざまなアイデアに触れているうちに、新たなアイデアが浮かぶことだってあるでしょう。

ざっと挙げただけでも以上のメリットがあるのですから、手間というのも理解できなくはありませんが、ぜひ先行技術調査に挑戦してみてください。
もちろん、費用に余裕があって、より精度の高い先行技術調査を期待するのであれば、先行技術調査を専門家(弁理士など)に頼むこともできます。

では、きちんと先行技術調査ができたとします。
それを審査官に開示してしまうのはどうでしょうか。

■②先行技術文献を開示すると、自分の発明が特許になるのに不利

②については、こうお考えください。
きちんと先行技術調査を行って、きちんと先行特許を見つけられれば、
特許出願書類に、その先行特許との違いを、十分に記載しておくことができます。
そうすれば、特許になる可能性を上げることができます。(敵を知れば、・・・です。)
逆に、先行技術調査を行わないで出願した場合、審査の結果、見たこともない先行特許を提示されたら、
それに対して反論できないかも知れません。

ちなみに、審査官は、出願人が開示する先行技術文献だけをもって、審査を終了することはまずありません。
審査官自身も、十分に先行技術調査を行います。

審査官は、審査対象である発明に「最も類似する発明」を探します。
ところが、審査官が先行技術調査をした結果、「最も類似する発明」が、出願書類に記載された先行技術文献そのものだったらどうでしょうか。
審査官には、この出願人に対する「心証」が形成されることでしょう。
もちろん、悪い心証のはずはありません。

そして、その最も類似する発明に対する特許性が、きちんと説明されていたとしたら・・・

一方、逆の場合も考えてみてください。
もっとも良くないのは、先行特許を開示することを、リスクのように考えることです。
そして、あなたの発明とは、あまり関係ないような先行技術文献を開示してしまったとします。

この場合、審査官はそれだけで、この出願人(つまり、あなた)に対して、あまりよい「心証」を形成しないかも知れません。
発明に自信がないから、先行技術をきちんと開示できないんだな、と考えるかも知れません。

また、仮に、審査官が、あなたが開示した(あまり関係ない)先行技術文献を信用したとします。
それで特許になったとします。
そのような特許は、残念ながら、きちんと先行技術調査をすれば、すぐに無効にされてしまうリスクがあります。

以上説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
きちんと先行技術調査を行って、きちんと開示することは、結局は、出願人ご自身のためなのです。
さらに言えば、審査官にきちんと審査してもらうことによって、強い特許となるのです。

ご参考になれば幸いです。

<元記事>

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