2015年07月23日
「どういう発明が公知だと、調査対象発明が容易か」と逆算して調査する
特許の出願前に行う特許調査には、さまざまなものがあります。
よく「先行技術調査」「先行特許調査」「先行調査」などと言われます。
しかし、必ずしも明確な定義はなく、調査の名称とその内容は、なんとなくあいまいに使われていることも多いようです。
例えば、以下のような調査があります。
①調査対象発明とまったく同じ発明が存在するかどうかだけを調べる調査
②調査対象発明に関連する発明を、一通りリストアップする調査
③調査対象発明が特許になるかどうか?を判断するための調査
調査を行う側にとって大事なのは、お客様がどのような調査を望むのかを、きちんと理解してあげることです。
調査の名称や定義などは、ある意味、どうでもよいことです。
*
弊所は弁理士が運営する特許事務所であり、特許出願の手続き代理を行っております。
そのために必要となる調査は、主に③です。
あえて調査名を付けるとすれば、「先行発明調査」か「公知発明調査」か「特許性調査」でしょうか。
依頼者が特許を出そうとする発明(調査対象発明)が、特許になるかどうかまで判断するためには、特許庁の審査と同じような調査を行う必要があります。
ざっくり言えば、「どういう発明が公知だと、調査対象発明が容易に発明できるか」と逆算して調査します。
(容易に発明できる発明が、特許にならないことは、当ブログの読者様ならご理解頂けると思います。)
*
例えば、調査対象発明を「野球のスイング速度を、特殊な方法で計測する装置」とします。
「野球」「スイング」「速度計測」などがキーワードになります。
①や②の調査であれば、これらのキーワードをいくつか選んで、アンド演算などをすれば十分かも知れません。
しかし、③の調査を行うためには、他の観点も必要です。
例えば、
テニスで、同じような発明が存在する可能性はあるだろうか?
スポーツ以外に、例えば、カーナビではどうだろうか?
カーナビで同じような発明があったときに、どのような技術思想があれば、それを野球に転用できるだろうか?
など、検討事項は、①、②の比ではありません。
*
上記で、「特許庁の審査と同じような調査」と書きました。
そのうえで、テニスやカーナビを例に挙げました。
しかし、実は、審査の手法として、このような論理展開は「後付けの論理」と呼ばれ、必ずしも適切でない場合があります。
つまり、上記のテニスやカーナビの論理は、野球の発明を「先に見た」からこそできる論理です。
ゴール地点に立って、スタート地点からどのように来ればよいか?と考えるのは、本来、適切ではありません。
審査では、テニスやカーナビの発明から見て、野球の発明に想到できるかどうかを、客観的に判断するのが原則です。
スタート地点から、暗中模索して、ゴールにたどり着くのは容易か?と考えるべきです。
(ではそもそも、スタート地点であるテニスやカーナビの発明は、どこから持ってくるのか?・・・この点は、さらに難しい議論なので、別の記事に譲ります。)
しかし、仮に審査において、後付けの論理が用いられたとしても、そのことはわからないことがほとんどです。
また、後付けの論理であることを、直接的に反論するのは、極めて難しいです。
そこで、事前に③の調査を行うことが、有効なのです。
そして、特許の出願書類には、調査で発見された公知発明に対抗できるような内容(公知発明から容易に発明できないこと)を盛り込んでおくのが、一つの理想と言えるのです。
そして、・・・(続く)
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そんな東雲(しののめ)特許事務所へのお問い合わせは、お気軽にこちらからどうぞ!
http://www.patande.com/お問合わせ/ (←お問い合わせフォームが開きます。)
少しでもお役に立つ部分があれば幸いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。
東雲特許事務所(しののめ特許事務所)の田村でした。
<お知らせ>
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しかし、必ずしも明確な定義はなく、調査の名称とその内容は、なんとなくあいまいに使われていることも多いようです。
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しかし、③の調査を行うためには、他の観点も必要です。
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など、検討事項は、①、②の比ではありません。
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つまり、上記のテニスやカーナビの論理は、野球の発明を「先に見た」からこそできる論理です。
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スタート地点から、暗中模索して、ゴールにたどり着くのは容易か?と考えるべきです。
(ではそもそも、スタート地点であるテニスやカーナビの発明は、どこから持ってくるのか?・・・この点は、さらに難しい議論なので、別の記事に譲ります。)
しかし、仮に審査において、後付けの論理が用いられたとしても、そのことはわからないことがほとんどです。
また、後付けの論理であることを、直接的に反論するのは、極めて難しいです。
そこで、事前に③の調査を行うことが、有効なのです。
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