実案ドットコムのリニューアルに伴う料金改定(値上がり)について【コピーライティング】【特許出願書類の書き方】背景技術~発明が解決しようとする課題の書き方
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2015年06月21日

「真似ができない特許技術」ってどういう意味?

ちょっと昔のテレビ番組を見ていたら、ある大手家電メーカーのCMでこんな表現がありました。

「真似ができない特許技術」・・・(★)

いろんな意味で気になりました。偶然、お客様から似たような質問を受けたところでした。ちょっと分析してみましょう。

なお、本記事で最も言いたいのは、特許とはむしろ小さな事業者のためにあるものだということです。個人発明家・個人事業主・ベンチャー企業・小規模零細事業の社長様には、きっと参考になりますので、ぜひ最後までお読みください。

●特許技術?真似ができない?


(★)で言いたいことは、CMである以上、その家電メーカーが「高度な技術を持っている」ということでしょう。以下、(★)のうち、(1)特許技術、(2)真似ができない、の解釈について検討してみます。

(1)特許技術

「特許技術」というからには、単に特許出願されているだけではなく、審査をパスして、特許されているということです。特許出願だけの段階で、「特許技術」というのは、問題です。製品のどの部分かは明確ではありませんが、製品のどこかに、特許発明が採用されているはずです。

この点については、他に解釈がないので、さらっと流します。

(2)真似ができない

こちらはいろんな解釈が可能です。どういう意味でしょうか?すぐに思いつくのは、以下のような解釈です。

①他社が真似できないほど、高度な技術である。特許された現時点でも同じである。
②特許の出願の時点において、他社が開発できないほど、高度な技術であった。
③単に、特許という独占権の存在によって、他社が製造できない状態である程度の意味。

①について:
特許と言うのは、基本的には、「発明(技術)を公開したことによる代償としての独占権」です。特許庁で、秘密裏で技術の高度性が審査されて、学術的なお墨付きが与えられるようなものではありません。

ちなみに、特許は、必ずしも「技術の高度性」に対して与えられるものではありません。基本的には、その発明(技術)を、「最初に創作した」ことに対して与えられるものです。

もし本当に、技術の高度性が原因で、その家電メーカーにしかその製品を作れない(真似ができない)とします。それでしたら、そもそもその技術を公開してまで、特許を取る必要はないかも知れません。

特許は、発明を独占するための権利です。もともと他社が作れないのであれば、特許を取るまでもなく、独占することが可能だからです。

こうした考え方は、「ノウハウ」と言われることがあります。公開して特許を取るのではなく、自社内にノウハウとして技術を蓄積することがあります。例えば、コカコーラやケンタッキーフライドチキンが、その典型的な例です。

もし本当に、この①の意味で、(★)の表現を使っているのでしたら、少し違和感があります。いい機会なので、その家電メーカーの特許戦略を、もう少し研究してみたいと思います。

②について:
この②の解釈と、(★)の表現は、少しマッチしませんが、こういう解釈も可能でしょう。

③について:
この③の解釈は、あえて挙げましたが、この解釈ではないでしょう。この意味で(★)の表現を使っても、単に「特許」という言葉の説明をしているだけに過ぎません。「高度な技術を持っている」こととは直接関係ありません。

●特許は小さな事業者にこそ重要


ここまでいろいろと書いてみました。「真似ができない特許技術」という表現は、いずれにしても違和感があります。

もちろんここでいろいろ書いたのは、CMの表現にケチを付けたいからではありません(笑)。CMはそもそもビジネスの広報活動ですし、虚偽でなければ、なんでもありなのかも知れません。

ここで言いたいのは、特許と言うのは、必ずしも、大手企業の最先端技術に対してのみ与えられるものではないということです。

発明を独占できる権利である特許は、むしろ、小さな事業者にこそ重要です。

つまり、小さな企業の「血と汗と涙の結晶」である発明を、大手企業のビジネスモデルに乗せてはいけないのです。大手企業のビジネスモデルとは、一言で言えば、「大量生産の低価格販売」です。

もちろん、大手企業と適正にライセンス契約をした上で、適正な価格で大量生産することは、好ましいことです。単に模倣されて、自社の研究開発がムダになるようなことがあってはいけません。

特許されていない公知技術は、一般には、オープンな自由技術です。いくら他社がそれを採用したところで、倫理上の問題はともかく、法的な対抗措置はありません。特許こそまさに、その法的な対抗措置になり得るのです。

小さな企業が、「特許なんて自分たちとは縁がない」と考えることは、よくあることだと思います。しかし、本当にもったいなく感じます。

●新しい技術・発明を創作し続ける小さな事業者を応援します


たしかに、特許を取るための費用は、小さな企業にとっては負担が大きいかも知れません。しかし、投資にコストはつきものですし、リスクのない投資はありません。

いま特許庁は、小規模零細事業者向けの軽減措置を講じています。特に平成26年4月以降は、軽減の割合も大きくなりました(所定の費用が1/3になります。ただし期限があります。)。わたしどもでも、軽減の申請は無料で行っており、申請したものは100%認められています。

わたしどもは、新しい技術・発明を創作し続ける小さな事業者を応援します。ぜひ特許に関する先入観を捨ててみてください。そのために当ブログでは、今後も、特許に関する有益な情報を発信してまいります。

最後までお読みくださりありがとうございました。
東雲特許事務所(しののめ特許事務所)の田村でした。

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弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
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