2017年04月12日
「第２」を記載せず「第１」と記載してもよいか？【特許の出願書類の書き方講座】
特許の出願書類の書き方講座です。
本記事では、特許請求の範囲の請求項に、「第１」と記載して、「第２」以降を記載しなくても不明確とされないかというお話しをしてみます。
例えば、特許の出願書類の特許請求の範囲に、以下のようなことが書いてあったとします。
【請求項１】・・・の第１メモリを備えたコンピュータ。
【請求項２】さらに、・・・の第２メモリを備えた請求項１に記載のコンピュータ。
ある１つのメモリがあることが発明の本質的なポイントで、オプション的に、２つのメモリがあってもよいという場合にはこのように記載することがあるでしょう。
一見問題はないように見えますが、各請求項は、それぞれ完結した発明です。
請求項１に記載の発明は、「第１」があるのに、「第２」以降はありません。
これでいいでしょうか？
結論としては、これで不明りょうとは言えないので、特許請求の範囲の記載不備とされることはないでしょう。仮に請求項２がなく、請求項１だけが特許請求の範囲に記載されていたとしても、同じことです。
（他の要件は別です。例えば、明細書に２つのメモリの実施例しか記載していないと、請求項１に記載の発明の内容が十分に開示されていない（サポート要件違反）とされることはあるでしょう。）
いかがでしたでしょうか。
以下、せっかくですので、２つほど蛇足です。
●第一次世界大戦？
ある推理小説で、第一次世界大戦中の歴史的文書が、本物かどうかが争いになるというストーリーがありました。
オチは、その文書には「わたしはこの第一次世界大戦で・・・」といった表現が出てくるので、ニセモノだとわかるというものです（なぜかはお分かりですね）。
●「第１」か「第一」か？
「第１」と「第一」は、日本語としては厳密には違うのかも知れませんが、特許の出願書類で、何番目かを表すものとしては、どちらを使ってもいいと思います。
個人的には、アラビア数字の「第１」を使うことが多いです。
特許の書類は横書きですし、漢数字を使うと、例えば数字が増えたときに、「第十一」「第百八」などとなって、少し違和感があります。
漢数字は、「第一に」のように副詞として使うことはあります。
●
いかがでしたでしょうか。
弊所：東雲特許事務所（しののめ特許事務所）は、個人発明家・小規模事業者のことを第１に・・・ではなく第一に考える特許事務所です（笑）。引き続きよろしくお願いいたします。
東雲特許事務所（しののめ特許事務所）の田村でした。
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【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営
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