2017年12月11日
発明の「解決課題」と「解決手段」について～『働き方改革』は誰のため？
「発明」とは、ある解決しようとする課題（解決課題）に対して、それを解決するための手段（解決手段）です。「解決課題」と「解決手段」とは、基本的には、１：１に対応します。具体例で説明します・・・
と、ここで、最近よく耳にする『働き方改革』が頭に浮かんできました。この言葉、以前から疑問に思っていたことがあります。本記事をご覧のあなたも同じだと思います。そこで、ちょっと話しを脱線して、これを考えてみましょう。「解決課題」と「解決手段」との理解にもつながると思います。
●『働き方改革』のキーワード
『働き方改革』といっしょに耳にするキーワードは、以下のようなものです。
①長時間労働の改善（残業時間短縮）
②業務の効率化（ＡＩの導入など）
③副業解禁（副業規制の緩和）
実はわたしには、①～③の対応関係が、いま一つ理解できないのです。『働き方改革』とは、なにが課題で、どうやって解決するものなのでしょうか？
●『働き方改革』は、どんな課題を解決するもの？
上述した発明の「解決課題」と「解決手段」で考えてみましょう。『働き方改革』は、どんな課題を解決するものでしょうか？
一般には、①長時間労働の改善と言われています。
①長時間労働の改善のための手段として、②業務の効率化を行うのは、合理的です。特に、人手不足と言われている近年においては、有効でしょう。
②業務の効率化を行うのであれば、それで課題は解決できるはずです。早く仕事が終わって早く帰ればそれでいいはずです。「解決課題」と「解決手段」とが１：１に対応します。比較的単純なお話しのはずです。
ところが、話しはなぜか複雑になって、③副業解禁のような話しが同時に出てきます。なぜでしょうか？
●業務が効率化するのであれば、その分、賃金アップすべきでは？
②業務が効率化するのであれば、その分だけ、賃金アップしてもいいはずなのではないでしょうか？
例えば、従来は１２時間も長時間労働をしていて、これが問題だったとします。②業務が効率化して、８時間で同じ成果が得られるようになったとします。
それならば、給料（本給分）を１２／８倍、つまり１．５倍すればいいのではないでしょうか？１．５倍は机上の数字だとしても、残業しないでも同じ成果が得られるのであれば、従来の残業代分を、本給分としてアップするのが、合理的なはずです。
③副業解禁の話しが出てくるのは、労働時間が短縮すると、その分の給料（残業代）が減るからということですね。成果が上がるのに、企業がそれを賃金に反映させないから、③副業解禁がどうのという別の課題が生じるのです。つまり、「解決課題」と「解決手段」とが１：１に対応していないのです。
●『働き方改革』は誰のため？
こう考えると、『働き方改革』のはじめの前提が怪しくなってきます。『働き方改革』の本当の課題は、①長時間労働の改善ではないということになります。
「成果は上げたい、給料は上げたくない」
これは、①長時間労働の改善のための課題や手段ではありません。一言で言えば、「企業の業績不振」を解決するための課題であり手段なのではないでしょうか？そう考えるのが自然です。
そうすると、『働き方改革』とは、誰のためにあるのでしょうか？労働者のためではなく、企業（経営者）のためなのではないでしょうか？これも敢えて言いますが、『働き方改革』とは、実は『働かせ方改革』なのではないかと考えても不思議ではありません。
そう言えば最近、改ざんや偽装といったさまざまな問題が話題になっています。どうしたがんばれ日本の企業！と言いたくなるのは私だけではないはずです。
●スモールビジネスは社長で決まる
発明の「解決課題」と「解決手段」の関係の勉強になりましたでしょうか？（笑）
本記事は、一種の問題提起的な内容ではありますが、決して悲観的な内容にしたいわけではありません。特に、スモールビジネスにとっては、社長の意識一つでほとんどが決まるものです。社長がしっかりしていればいくらでも業績は上がり、上記のような問題は生じないものです。
スモールビジネスにはスモールビジネスの戦い方があります。弊所：東雲特許事務所（しののめ特許事務所）もスモールビジネスですし、スモールビジネスを応援してまいります。「どうしたがんばれ！」ではなく、「いっしょにがんばっていきましょう！」
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東雲特許事務所（しののめ特許事務所）
弁理士 田村誠治（元特許庁審査官）
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営
【楽しいホームページ】
個人発明家・小規模事業者専門の東雲（しののめ）特許事務所
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と、ここで、最近よく耳にする『働き方改革』が頭に浮かんできました。この言葉、以前から疑問に思っていたことがあります。本記事をご覧のあなたも同じだと思います。そこで、ちょっと話しを脱線して、これを考えてみましょう。「解決課題」と「解決手段」との理解にもつながると思います。
●『働き方改革』のキーワード
『働き方改革』といっしょに耳にするキーワードは、以下のようなものです。
①長時間労働の改善（残業時間短縮）
②業務の効率化（ＡＩの導入など）
③副業解禁（副業規制の緩和）
実はわたしには、①～③の対応関係が、いま一つ理解できないのです。『働き方改革』とは、なにが課題で、どうやって解決するものなのでしょうか？
●『働き方改革』は、どんな課題を解決するもの？
上述した発明の「解決課題」と「解決手段」で考えてみましょう。『働き方改革』は、どんな課題を解決するものでしょうか？
一般には、①長時間労働の改善と言われています。
①長時間労働の改善のための手段として、②業務の効率化を行うのは、合理的です。特に、人手不足と言われている近年においては、有効でしょう。
②業務の効率化を行うのであれば、それで課題は解決できるはずです。早く仕事が終わって早く帰ればそれでいいはずです。「解決課題」と「解決手段」とが１：１に対応します。比較的単純なお話しのはずです。
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●業務が効率化するのであれば、その分、賃金アップすべきでは？
②業務が効率化するのであれば、その分だけ、賃金アップしてもいいはずなのではないでしょうか？
例えば、従来は１２時間も長時間労働をしていて、これが問題だったとします。②業務が効率化して、８時間で同じ成果が得られるようになったとします。
それならば、給料（本給分）を１２／８倍、つまり１．５倍すればいいのではないでしょうか？１．５倍は机上の数字だとしても、残業しないでも同じ成果が得られるのであれば、従来の残業代分を、本給分としてアップするのが、合理的なはずです。
③副業解禁の話しが出てくるのは、労働時間が短縮すると、その分の給料（残業代）が減るからということですね。成果が上がるのに、企業がそれを賃金に反映させないから、③副業解禁がどうのという別の課題が生じるのです。つまり、「解決課題」と「解決手段」とが１：１に対応していないのです。
●『働き方改革』は誰のため？
こう考えると、『働き方改革』のはじめの前提が怪しくなってきます。『働き方改革』の本当の課題は、①長時間労働の改善ではないということになります。
「成果は上げたい、給料は上げたくない」
これは、①長時間労働の改善のための課題や手段ではありません。一言で言えば、「企業の業績不振」を解決するための課題であり手段なのではないでしょうか？そう考えるのが自然です。
そうすると、『働き方改革』とは、誰のためにあるのでしょうか？労働者のためではなく、企業（経営者）のためなのではないでしょうか？これも敢えて言いますが、『働き方改革』とは、実は『働かせ方改革』なのではないかと考えても不思議ではありません。
そう言えば最近、改ざんや偽装といったさまざまな問題が話題になっています。どうしたがんばれ日本の企業！と言いたくなるのは私だけではないはずです。
●スモールビジネスは社長で決まる
発明の「解決課題」と「解決手段」の関係の勉強になりましたでしょうか？（笑）
本記事は、一種の問題提起的な内容ではありますが、決して悲観的な内容にしたいわけではありません。特に、スモールビジネスにとっては、社長の意識一つでほとんどが決まるものです。社長がしっかりしていればいくらでも業績は上がり、上記のような問題は生じないものです。
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